伝統工法の木造住宅と自然災害 災害に強い住まいの構造と材料
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伝統工法の木造住宅と自然災害 災害に強い住まいの構造と材料
最近見直されつつある伝統工法の木造住宅は、地震や台風の被害が多い日本古来の作り方による住まいです。
大きな大黒柱と大きな地震で揺れた際には柱がずれて動くという独特の作りを取りれた伝統工法は、本当に自然災害に強いのか紹介しましょう。
まず地震の揺れに対しては、真面目に作った健全な状態の伝統工法住宅であれば、かなり強い作りといえます。
地震の揺れに対する強さについては、貫や小舞壁など強度は弱いものの変形しても破壊しにくい作りとなります。
また柱の足元は、礎石や平らなコンクリート面(現代の伝統工法)の上に乗っているだけです。
大きな揺れの際には揺れを減らすように滑るので、ちょっとした免震構造の様に働くのです。
柱が太いことで、柱の太さ以内の揺れであれば倒れないという特徴も備えます。
柱の太さが21cmであれば、柱の頭の部分が20cm揺れても柱は倒れません。
そこで伝統工法の木造住宅は、大地震で揺れた際にも倒れにくくなるのです。
ただ伝統工法の木造住宅は、上手い大工さんを選ぶという部分が大きくなります。
技術のある大工さんが建てた住宅は壊れにくくても、未熟な大工さんが建てた住宅は期待するほど地震に強くない可能性もあるのです。
津波に対しては、伝統工法の木造住宅はほとんど無力といえそうです。
基礎と柱が緊結されず自由に動く形となるので、水の流れに流されやすくなります。
2階建て住宅の1階だけが浸かるくらいの津波でも、住まいが流されてしまうことが少なくありません。
同様に洪水や高潮で深く浸水した際にも、流されてしまう危険性があります。
地すべりや崖崩れに対しても、伝統工法の木造住宅は弱くなります。
崩れてきた土砂で住宅が埋まると外壁や屋根が壊れてしまうことも多く、被害がひどくなってしまいます。
住まいが建っている敷地の崖崩れを考える場合は、かなり微妙です。
木造住宅は軽いので、崖崩れが起こる可能性としては他の重い構造の住宅よりも若干低くなります。
しかし崖が崩れてしまった際には、基礎部分の傾きによって建物がずれたり倒壊する危険性も高くなる可能性があります。
強い台風に対しては、伝統工法の木造住宅は微妙です。
昔の土を乗せた瓦屋根の場合は屋根が非常に重くなるので、屋根が飛ばされる危険性はかなり低くなります。
しかし屋根と梁の接続部分は弱いので、接続部分が壊れてしまう点で考えると危険性高くなってしまいます。
また窓が木製建具であることも多いので、強風で壊れたり隙間から水が入ってくるトラブルは生じやすくなります。
同様に強い竜巻に対しても、伝統工法の木造住宅はさほど強くは無いといえるでしょう。
毎年台風が多く通過する沖縄の木造住宅は、平屋で屋根を低くして風を遮る高い石垣を作る事で台風の強風による被害から住まいを守っています。
そこで伝統工法の木造住宅を台風に強くする為には、平屋で屋根を低くすることが欠かせません。
火山の噴火の際の飛び石に対しては鉄骨造と同等で、弱くなります。
屋根は鉄筋コンクリート造ほど強くないので、飛んできた石に対する強さを比較すると弱いといえるでしょう。
住まいが飲み込まれてしまう火砕流に対しては、どの構造でも無力です。
火山灰や落雷に対しては、どの構造でも変わらないといえそうです。
大雪に対しても、伝統工法の木造住宅は標準的と言えそうです。
屋根は鉄筋コンクリート造ほど丈夫ではありませんが、屋根自体が重くそれを支える梁や柱も大きいので、雪の重さが加わっても弱点というほどにはなりにくいのです。
合掌作りの伝統工法では、雪が自然と落ちるので屋根に雪が積もることによる被害はほとんどありませんが、台風の際には風を受ける屋根が広くなるので壊れやすくなる欠点があります。
伝統工法の木造住宅は、台風に対する強さを求める場合と大雪に対する強さを求める場合とでは作り方が大きく変わります。
もともと伝統工法による木造住宅は地域ごとに特色があるので、その地域の特色にあわせてつくることが基本なのです。
ただ最近では強い台風や竜巻が大雪が降る地域に被害を与えることもあるので、強風対策を加えた住まいとすることが欠かせないでしょう。
昔の良いところに加えて最近の自然災害を加味して考えることが、伝統工法の木造住宅を作るポイントなのです。
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